2016/07/29発行 ジャピオン2号掲載記事

上昇志向のビジネス英語 第二回

国際的なビジネスシーンで絶対不可欠な英語力。英語がうまくできないことでコンプレックスになることも多いが、逆を言えば、英語力がアップすることで自信が付き、仕事のバネになる。第2回はリスニングにまつわる問題点とその解消法、勉強法について、日本人を対象にしたビジネス英語教育の専門校、アイベックのトロイ・エイクリー先生にアドバイスしてもらった。

身近にある状況を利用して
リスニング力アップ

 幼少時に海外で育った帰国子女はともかく、大学まで日本で生活し、教育を受けた人にとって英語のリスニングは一筋縄ではいかない難題。文法や語彙(ごい)力はばっちりだが、リスニングや会話になると途端に自信がなくなってしまう、という人も多いだろう。せっかく文法力があるのに、きちんと聴き取れなかったり、発音がうまくできないことで気後れし、スムーズなコミュニケーションが取れず、損をしていることも少なからずある。では、リスニング力をアップするにはどうしたらいいのだろうか。

 「リスニング力をつけるには、いろいろな方法があります。コーヒーショップで人々の会話に耳を傾けるのもいいですし、テレビの字幕機能をうまく利用して学ぶこともできます」とエイクリー先生は話す。

 「テレビの気に入った番組を録画して、何度も繰り返し聞き、どれだけ聞き取れるか試し、後で字幕を見ながら確認するのも良い方法でしょう」とアドバイス。

 リスニングの勉強ができる場面は身近にたくさんあるとは言いながらも、エイクリー先生は学校で学ぶことのメリットを強調する。コーヒーショップの会話やテレビの英語を聞き取るだけでは、何を聞き取れなかったのか、なぜ聞き取れなかったのかが分からないからだ。 「自分がなぜ聞き取れなかったのか、なぜ理解できなかったのかを気兼ねなく質問でき、自分のレベルに合ったマテリアルで勉強できるのは学校だけです。効率よく学ぶには大切なことです」と話す。

上手な「聞き返し」で
現場力を付ける

 気を付けなければいけない点は多々あるものの、話す力をアップするには「話す機会を増やし、とにかく英語を使う必要のある場面に飛び込んでいってください」とエイクリー先生。しかし、ただやみくもに話すのではなく、きちんとした戦略が必要だとも。「文法はとても重要ですが、言語のほとんどは『状況を学ぶ』ことから習得できるんです。例えば、子供は結果を得るために言葉の使い方を学びます。それと同じように、前後関係やその場の状況から言葉の使い方を学び、自信をつけていってください」。

失敗を恐れず
パーソナリティーを大切に

 さて、実際にネーティブスピーカーと話しているときに、聞き取れなかった場合はどうしたらいいのだろう。下手に聞き返して座を白けさせてはいけないと思って、なんとなく分かったふりをしていることもあるかもしれないが、それでは上達にはつながらない。エイクリー先生は、「アメリカ人が一般的に使う聞き返しの表現は、単純に”Sorry?”です。もし、聞こえてはいたんだけれども意味が分からなかったという場合は、”Sorry. I didn’t get that.”か、あるいは”Sorry. Could you repeat that?”と言います」

 また、日本人が陥りがちなこととして、”Sorry, my English isn’t so good. Could you repeat that?”と、自分が英語ができないことを何度も繰り返してしまうことを先生は指摘。職場で英会話が聞き取れないことが頻発すると、前述のようなフレーズを使って言い訳しがちだが、最初に「得意じゃない」と伝えれば、後は”Sorry?”だけで十分。何度も言い訳することの方が逆に相手をイライラさせる原因にもなる。

誤解を解く表現も
素早く、シンプルに

 一方、自分の発音の拙さや表現力の乏しさから、相手に誤解を与えてしまったときはどうしたらいいだろうか。
「最もよく使われるのは”No, no. Sorry. I said…”という表現です。日本人の方たちは”No, no.”という表現は強過ぎると感じられるようですが、間違いを指摘するということに関していえば、アメリカ人にとってはそれが一番早くて確実な表現です」と説明する。

 分からなかったときのやり取りに関しては、スピード感が大切なので、丁寧過ぎる長い言い回しなどで時間を無駄にせずに、”Sorry?”や”No, no. Sorry. Isaid…”といったフレーズを素早く繰り返す方が、むしろ自然で効果的だとのこと。

 前回もアドバイスしてもらった通り、何事も臆せず、「英語を使う必要のある場面に飛び込む」機会を増やし、現場から英語を学ぶことは上達の助けになる。今回習ったシンプルな表現を使て、現場でも気後れしない英語力を身につけよう。

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教科書ではあまりお目にかからないが、実際のビジネス現場で効果的に使われる英語表現の中に、ビジネス以外の分野の専門用語を援用したものがたくさんある。前回に引き続きスポーツ用語から発生した表現で、ビジネス現場でも使われる英語をいくつか紹介する。リオデジャネイロ・オリンピック開催も間近(8月5日~21日)なので、オリンピック放送を英語で見て、スポーツで使われる英語表現から日々のビジネスに生かせる英語を積極的に学ぼう。

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1. To raise the bar
標準レベルや期待値を上げることを意味する。もともとは陸上の高跳びや棒高跳び競技で、一定の高さをクリアするごとに、少しずつバーの高さを上げていくことに由来する。ビジネス現場では“ABC Automobile’s new energy- efficient system will raise the bar for the entire industry.”というような使い方をするが、日々向上することを念頭においてトレーニングに励むアスリートの姿は、常に高い目標に向かって邁進(まいしん)するビジネス精神とも重なる。

2. To touch base
野球で走者が一塁から本塁までの各ベースにタッチするアクションから派生した言葉で、“I just wanted to touch base with (someone)….”や“I’m just calling to touch base to see if….”というように、「手短に誰かと話す、コンタクトする、合う」という意味で使われる。「ほんの一瞬だけ」「素早く」といったニュアンスが含まれ、短時間で結果を出さなければいけないビジネス界においては、日常的に使用される表現。

3. To keep your eye on the ball
こちらも野球から来たイディオムで、「今やっていることに集中しなさい」という意味で、“Keep your eye on the ball.”がよく使われる。テニスや野球などのボールの行方を追う動体視力が選手にとって重要なことは、球技全般に言えることだが、自分が今やっていることをどこまで追い続けられるか、注視し続けられるかはビジネスをする上でも大切なことだ。

4. To throw in the towel
ボクシングの試合中に、監督・コーチがタオルをリングに投げ入れることで「試合続行の停止を表明する」という競技ルールから、ギブアップを意味する言葉として使われる。ビジネス現場ではギブアップは歓迎できないが、しかし現実的には全てのことがかなうわけではない。“It’s important to do your best before throwing in the towel.”(ギブアップする前に最善を尽くすことが重要である。)

5. To cut corners
起源はモータースポーツで、きちんと角を曲がらずに近道をするという意味。ビジネスの現場で使うときは、「手間暇かけずに急いで行う」「低予算で実行する」というニュアンスが加わる。“We couldn’t raise enough of a budget for the project, but we need to cut corners to make it possible.”のように使われる。

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