2016/04/29発行 2016 SPRING号掲載記事

Be Yogi

①オフィスでできるヨガポーズ

 オフィスで忙しく仕事をしていると、気が付けば一日中デスクに向かっていた、なんてことも多いはず。そうした人々が抱えやすいのが、肩凝りや腰痛といった体の痛み。独自のコーポレート・ヨガ・プログラムを企業に提供するポーラ・テューリさんは、こうした悩みを解消するには「関節にある体液の巡りを良くすることが大切」と話す。

 「関節を動かすことで、そこにある体液は循環し、関節への必要な水分の行き来が生まれます。しかし、関節を動かさないと体液の行き来が滞り、関節は乾燥してしまいます。ヨガでいう『循環が良くなる』というのは、血液循環だけではなく、関節にある体液のことも指しているのです」とテューリさん。1日中座りっぱなしで体を動かさないと、関節が乾いて硬くなるため、首や肩、背中から腰にかけてのたくさんの関節を包む筋肉も硬直し、肩凝りや腰痛が起こるのだとい う。

 体の痛みに加えて、「臓器への影響も考えてみてほしい」とテューリさん。代替医療分野の研究で分かってきた事実として、「1日中座りっぱなしの最大の弊害は、特に下半身にある内臓機能が低下してしまう点にある」と話す。小腸、大腸、生殖器といった臓器が、1日中座る生活を長期間続けることで硬直してしまうのだという。昔からある病気とはいえ、脱腸や前立腺がん、さらには不妊症が近年増えていることは、こうした現代人のライフスタイルを考えると、不思議ではないという。便秘もしかり。さらには、若い世代、特に女性に猫背が多いのもこのためだという。

 ジョギングやジム通いで、日々の生活に運動を取り入れる努力をしても、オフィスでの8時間がもたらす体へのインパクトは大きい。最悪なのは、「動かさないこと」に体が慣れてしまう、または肩凝りや腰痛でジム通いもできないといった悪循環に陥ることだとテューリさんは話す。

 忙しいビジネスパーソンが抱えやすい、こうした体の悩みを解消する方法として、椅子に座ったままどこでも簡単にできるヨガのポーズを、テューリさんに紹介してもらった。関節や筋肉を伸縮させ、脚や腰、首や肩の凝りをほぐし、体液の「循環」を促すポーズをオフィスワークの間に取り入れ、健康になって仕事効率を上げよう!

ヨガ・インストラクター


Be Yogi

Paula Tursiさん

ヨガスタジオ「Reflections Center for ConsciousLiving & Yoga」創設者・代表。ヨガを極める中で、独自の「リフレクションズ・ヨガ」を考案。オフィス向けヨガ講習会も開催している。

Reflections Center for Conscious Living and Yoga
227 E. 24th St. (bet. 2nd & 3rd Aves.)
TEL: 212-974-2288
info@reflectionsyoga.com
www.reflectionsyoga.com

椅子に横向きに座り、 ウエストをひねるポーズ

上半身をひねることにより、腰のストレッチになり、内臓を刺激する。まず、椅子の右側に横に座る。右腕が背もたれに付いた状態。体を軽く右方向にひねり、両手を背もたれに置く。息を吐きながら、ひと息ごとに徐々にひねりを深めていく。逆側も同様に。左右両方、それぞれに3~7呼吸続ける。

頭のてっぺんが天井に向けて伸びる意識で、腰から背筋を真っすぐにして座る。膝は自然に90度に曲げて、両足を床に付ける。椅子の右側に座る場合は、体をひねる際に右手で背もたれを押し、左手で背もたれを引く。左は逆。ウエストだけで無理にひねろうとせず、呼吸に合わせて、両手で胴体のひねりをサポートしながら行うこと。

背中上部と、肩のストレッチ

椅子の前に浅く座り、両足を肩幅くらいに広げ、膝は90度に曲げて、足の裏は床に付ける。両手で椅子のシートの後部をつかむように置き、胸部を上に向けるようにして、肩というよりは鎖骨を開く。同時に左右の肩甲骨をくっつける。3~5呼吸または7呼吸くらいホールドしたら、普通の姿勢に戻り、数回繰り返す。時間がなければ1回でも良い。

肩を広げるのではなく、あくまでも「鎖骨を開く」という意識で行うと良い。普段猫背で机に向かい、コンピューターにかがみ込むように座っている人は、肩甲骨の周りが凝っている。このポーズでいつもの逆の動きを、肩から肩甲骨に与えることで、背中から肩にかけての体液の循環を促し、肩の凝りを緩和する。顔は自然に前を向けて、無理に上を向かない。

ハムストリングと足首のストレッチ

椅子の前方に浅く腰を掛け、上半身はリラックスして、背もたれに自然にもたれかかるようにして座る。背骨を軽く曲げるような姿勢で座るのがコツ。片方の脚を上げ、膝を両手で抱え、軽く太ももを胸部に引き寄せてから、足を天井に向けて上げる。膝をなるべく伸ばした状態で、両手で上げた脚を支えながら、足首を曲げて伸ばしてを何度か繰り返す。同じことを、もう片方の脚で繰り返す。

片脚を上げた状態のとき、両手は、太ももの裏と、ふくらはぎの裏あたりに置いて、膝が曲がってしまわないように支える。座って脚を伸ばす体前屈と同様に、脚の裏側がかなり突っ張るはず。痛みで脚がぶるぶる震えるほど我慢して脚を伸ばさないように。それでも、ある程度「痛い」と感じるところまで膝を伸ばすこと。それだけでハムストリングのストレッチになり、足首を曲げるとさらに深いストレッチになる。

肩の前部から胸部を開くストレッチ

椅子の前方に浅く腰を掛け、頭のてっぺんは天井に向けて伸びる意識で、腰から背筋を真っすぐにして座る。両手を合わせ、指を組み、腕を上げ、組んだ両手の甲を頭のてっぺんに乗せる。そのまま両腕を上げて、3~7呼吸キープし、同時に目は上に向ける。なんの変哲もない動きのようだが、組んだ両手を頭に乗せるだけで、胸部がオープンになり、肩甲骨が背中で動いているのが分かる。3~5回繰り返す。時間がなければ1回だけでもOK。

目を上に向けることで自然に頭が上向きになり、その結果、喉を広げる効果もある。いつも前かがみでコンピューターに向かっていると、気付かないうちに喉が締め付けられている。喉には甲状腺があり、体のバランスを整える甲状腺ホルモンを分泌している。テューリさんによると、「なんとなく体調が悪い」と思ったら、甲状腺ホルモンが不足していたという現代人が増えているそう。このポーズで甲状腺があるのどを開けば、意外な効果が期待できるという。また、乳がんができやすい部位をストレッチできるこのポーズは、乳がん予防にも効果があると、テューリさんは話す。

おしりから足の付け根、 腰のストレッチ

椅子の前方に浅く腰を掛け、腰から背筋を真っすぐにして座る。片方の足首を、もう片方の足のもも(ももがきつければ膝)の上に乗せる。両手を足の付け根に起き、手を置いた部分を「ちょうつがい」にする意識で、そこから上半身を前に倒す。背中は真っすぐ、腰から体を前方に折るように。脚を上げている方のおしりがストレッチされているのが分かる。3~7呼吸、正しい姿勢をキープできるくらいの「痛さ」の所からまずは始めること。左右両方を3~5回繰り返す。

普段伸ばさない筋肉・関節なので、最初は痛いかもしれないが、おしりのストレッチは腰痛緩和にも効果がある。前屈することで、背骨から腰を伸ばす効果もある。前屈する際、背中を曲げて頭だけ下げないようにすることが肝心。それではおしりがストレッチされないので必ず、股関節から「折る」ように、背骨を伸ばした状態で前屈すること。体が柔らかい人や、上級者、慣れてきた人は、前屈した状態で、両手を床に落とし、床に付いている方の足首をつかむ。おしりのストレッチがより深くなる。

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