2018/01/05発行 2018 WINTER号掲載記事


vol. 5 ●NYSC&ハリーズお店探訪

「ひげそり」の懐古と進化

ショッピングは、実際に店を訪れるからこそ得られる体験がある。今回は、こだわりのシェービンググッズを販売する2社の路面店を訪問。

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シェービングは世の男性がこなす、日常のルーティンだ。道具一式を安価で購入し、無心かつ機械的にそっている人も多いだろう。時代は効率重視、スピード勝負。

約10年前、そんな風潮に対抗して、オールドファッションなシェービングの「再導入(Reintroduce)」を掲げたのが、「ザ・ニューヨーク・シェービング・カンパニー(NYSC)」。クリームやローションは体に負担の少ない自然由来で、レーザーやブラシは手になじむ高品質であるべきだと考えた。クリームなどはニューヨークで少数生産したハンドメード。現在はオンラインを中心に展開する。

バワリーにある同店の小さな路面店「トンソリアル・パーラー」は、まさに古き良きシェービングの「再導入」を実現した空間だ。温かみのある赤茶色の木材でできた壁や戸棚にタイル床の、クラシックな趣き。ガラス棚にはクリームや折り畳み式の直刃(すぐは)レーザーなどを陳列。シェービング講座や、研磨サービスもある。

そしてレジカウンターの奥では、NYSCの商品の魅力を最大限堪能してもらうべく、バーバーが常駐。予約すれば散髪やシェービングのサービスが受けられる。30年以上の経験を持つ白衣のバーバーがフォームを泡立て、丁寧にレーザーを当てる。最後にローズウオーターをひと吹きして、「さあ、新しく生まれ変わったよ」とニヤリ。都会の喧騒(けんそう)を忘れた、静かで穏やかな時の流れがここにある。

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一方、同じく品質重視をうたいながら、よりカジュアルなシェービング体験を目指すのが「ハリーズ」。大企業による装飾過多で高額なレーザーに異を唱え、滑らかなフォルムのドイツ製T字5枚刃を、シェービングフォーム付きのセットを15ドルでオンライン販売する。

そんなハリーズも5年前、ソーホーに路面店「コーナーショップ」を開いた。こちらはNYSCと反対に白を基調としたとしたシンプルかつ現代的な空間だ。レーザーはもちろん、文房具や鞄など、明らかにひげと無関係なものまで売っているが、広報担当のエルトンさんによると、「プロによるヘアカットとシェービングで最高の気分になれて、かつユニークな商品にも出合える、くつろぎの空間を目指した」そうだ。

自由なファッションの若いバーバーたちは流行に詳しく、髪とひげのトータルコーディネートにも長けている。「小まめな手入れが面倒な人には、流行の髪形メッシールック(無造作ヘア)がおすすめ。ただし合わせるひげは、きれいに整えるのがポイントです」とバーバーのアレックスさん。さて、今日はどんな形のひげにしてもらおうか。

The New York
Shaving Company

Tonsorial Parlor
202B Elizabeth St.
(bet. Spring & Prince Sts.)
TEL: 212-334-9495
www.nyshavingcompany.com

Harry’s
Harry’s Corner Shop
64 Macdougal St.
(bet. Prince & Houston Sts.)
TEL: 646-998-3245
www.harrys.com

 
「古き良き理髪店」を追い求めたパーラーでは、バーバーがNYSCの商品を使って、客一人一人を丁寧にシェービング。予約はいつも混み合うので早めに入れよう
シックな店内には、レーザーや顔用ブラシがうやうやしく陳列されている。実際に手に取り、品質を確かめることができるのが、路面店のいいところ
「Eugene Berninghaus」社のバーバーチェアは、1880年代のアンティーク品。パーラー内に二つある

パーラー内の壁に飾ってある、利用客たちの写真。笑顔あふれる光景に癒やされる
主力商品の一つ、シェービングクリームも充実のラインアップ。ギフト用セットも取り扱う

 
モダンなコンセプトのブランドだが、コーナーショップは「地域に根付いたスモールビジネス」を意識。奇抜さを削ぎ、あくまで柔らかく、自然な色調で統一している

オールドスクールな雰囲気を目指し、1970年代風のポスターやビンテージの看板でデコレーション
ブティックショップとしての役割も果たす。自社製品のレーザー以外にも、同社のコンセプトである「シンプルかつおしゃれ」な生活雑貨などを販売

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