2018/03/30発行 2018 SPRING掲載記事

(写真左上から時計周りに)お祭りの屋台のような店構えの「米吉」。シックな雰囲気の「咖喱屋」の店内。ずらりと地酒が並ぶ「酒蔵」。アメリカ人に酒処として知られる「でしべる」。「咖喱屋」の米を生かしたカレー。「米吉」のライスバーガー

 イーストビレッジを中心に、飲食店16軒を展開するT.I.C.グループ。日本では米離れが進む中、ニューヨークで同社が提案するお米の楽しみ方や取り組みについて、同社社長の八木秀峰さんが語る。

◇ ◇ ◇

 日本人はお米に対して特別な思いがあります。僕の時代には、毎朝、母親が炊くお米のいい匂いで目が覚めて、一日3食ご飯。最後の一粒まで食べて、自然の恵みに感謝する気持ちがありました。しかし、日本では若者を中心に米離れしているとよく聞きます。

 僕は30年以上ニューヨークで和食店を営んでいます。今や、すしは世界中で定着し、日本とは逆にアメリカではお米を食べる人が増えています。ですから、やり方によっては、お米はまだまだ伸びる。ただ、アメリカでは米は主食ではないので、弊社ではいろいろな形で工夫しながらお米を提供しています。

 例えば「米吉」では、ライスバーガーを提供しています。娘から「モスバーガー」のライスバーガーがおいしいと聞いたのがきっかけです。当地で知名度を上げて、ニューヨーク発のライスバーガーを日本に逆輸入したら、日本でも広がるのではと考えています。「咖喱屋」で目指したのは、ライスに合うカレーです。いろいろなお店を食べ歩き、たどりついたのが、野菜とブイヨンを煮込んだ帝国ホテルの欧風カレーの味でした。

 「酒蔵」と「でしべる」は地酒を扱っているので、弊社で一番使っているお米は酒米だと言えます。その貢献が認められ、昨年末に農林水産大臣賞(海外での日本食・食文化の普及、日本産の食品の紹介に貢献した功労者として)を受賞しました。「酒蔵」がお客さまに喜ばれているのは、日本酒を250種類扱っているだけでなく、常においしい状態に保つ管理をしているからです。しっかりした管理のもとで日本からの地酒を飲んでいただくことで、その酒を作った各地方の蔵元の杜氏(とうじ)の気持ちを分かってもらえるのが「酒蔵」のやり方です。

 「でしべる」は最初洋酒バーでしたが、おいしい新潟の酒に出合い、ベースがしっかりした日本酒を提供したら、当地ではやると確信しました。ちょうど日本では酒離れが起き、蔵元が危機感を持ち海外市場に進出してきた時期だったので、日本酒を「でしべる」、続いて「酒蔵」に置きました。日本の酒離れが日本酒を世界に広めることになったといえます。そういう意味で、日本の米離れがお米を世界に広めるチャンスになるかもしれません。日本は今年から、農家が規制を受けずに自由にお米を生産できるようになります。日本米は高いのでビジネス的に採算が合わないのですが、今後、アメリカでは日本米がカリフォルニア米と競争することで値段も下がり、使いやすくなるかもしれません。

 アメリカ社会はお米を食べるようになりましたが、今度はもう一歩先に行って、お米のいろいろな楽しみ方や良さをより浸透させていくことが弊社のミッションです。お米の素晴らしさを広めて、お客さまに感動を提供していきたいと思います。

〈店舗情報〉

・酒蔵
211 E. 43rd St.
TEL: 212-953-7253
www.sakagura.com

・でしべる
240 E. 9th St.
TEL: 212-979-2733
www.sakebardecibel.com

・咖喱屋
214 E. 10th St.
TEL: 212-995-2877
www.nycurry-ya.com

・咖喱屋ハーレム店
1467 Amsterdam Ave.
TEL: 646-861-3833

・咖喱屋ミッドタウン店
844 2nd Ave.
TEL: 646-682-7788

・米吉
238A E. 9th St.
TEL: 646-669-9785
www.yonekichiny.com

・米吉ヘルズキッチン店
746 9th Ave.
TEL: 646-998-4810

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