2016/07/29発行 ジャピオン2号掲載記事

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 国立公園局(National Park Service)が連邦政府機関の一つとして設立されたのがちょうど100年前の1916年。それからさかのぼること44年前の1872年、国が管轄する世界初の国立公園に指定されたのがイエローストーン。さらには1978年に世界初の世界遺産指定を受けた12のうちの一つとなった。イエローストーンは自然保護、保存の原点として世界中の国立公園にとってもひな形であり、アメリカ滞在中に一度は訪れておきたい場所としても人気が高い。

 そのイエローストーンのすぐ南あるのが国立公園、グランドティートンだ。公園内にある4000メートルを超えるティートン連山は、長さ5000キロにおよぶロッキー山脈の中でも景色が最も美しいといわれている。

 昨今の自然回帰ブームも相まって、昨年1年間で、この二つの国立公園の来訪者は720万人を超え、公園への入り口となるワイオミング州ジャクソンもこれまでにないにぎわいを見せている。

 100周年の記念の年にぜひ国立公園で、他では味わえない広大な自然を満喫してほしい。

文・写真/星野修(ワイオミング州観光局日本地区代表)
編集/QUA編集チーム
Text & Photograph by Osamu Hoshino
Edit by Editorial Team of QUA

多彩な顔を持つイエローストーン


1オールドフェイスフル間欠泉、2グランドキャニオンにある落差92メートルのローワーフォールズ、3マンモスホットスプリングスで見られる天然の重層テラス、4ウェスト・サム・ガイザー・ベイスンにあるブラックプール。遠くに見えるのはイエローストーンレイク

 ワイオミング州の北西部に位置する総面積約9000平方キロメートルのイエローストーン国立公園。その広さは日本の四国のほぼ半分。そのうち80%が森林、15%が草原、残りの5%が湖、川が占める。その桁外れの大きさゆえ、イエローストーンは多彩な顔を持ち、その一つ一つが見どころだ。

 世界最大級の超巨大火山、スーパーボルケーノの噴火で形成されたカルデラ(陥没地)を有するイエローストーンは、地表からわずか数キロ下にマグマだまりがあるため間欠泉が多い。その数1万。実に地球上の3分の2の間欠泉が公園内に集中している。

コバルトブルーの水面

 その代表が「オールドフェイスフル」で、その名の通り「昔から忠実」に一定の間隔(過去数年は約90分)をもって30〜40メートルの高さに吹き上げる。オールドフェイスフル間欠泉のあるアッパー・ガイザー・ベイスン(盆地)は、ボードウオークが備えられているので、近くにある間欠泉も歩きながら見て回れる。この他にも、間欠泉が集中する盆地がいくつかあるが、必見はミッドウェー・ゲイザー・ベイスンにある幅90メートルを超える、幻想的なコバルトブルーの水面の熱水泉、グランド・プリズマティック・スプリング(右ページの写真)。

 公園内には巨大なキャニオン(峡谷)がある。イエローストーンレイク(海抜2357メートル)から流れ出るイエローストーンリバーが何万年もの時間をかけて作り上げたのが「グランドキャニオン」だ。この峡谷の中には落差92メートルの滝、ローワーフォールズがある。圧倒的な水量を滝つぼにたたきつけることで上がる水しぶきには虹がかかり、大自然の驚異を感じさせてくれる。また温泉に含まれる石灰が長い年月で蓄積した真っ白い石灰華段丘、「マンモス・ホットスプリングス」もまた、カルデラの上にあるからこそ見られる現象の一つだ。

野生動物との遭遇

 公園内は車で移動することになるわけだが、野生動物と遭遇する機会が多いのも魅力の一つだ。公園内に生息するバッファロー(アメリカバイソン)は約5000頭。エルク(大鹿)、ムース(ヘラ鹿)、コヨーテ、アメリカグマやグリズリー、オオカミとの遭遇は興奮のひとときだ。鳥類にいたっては白頭ワシ、ミサゴ、ヒメコンドルなど318種。公園内で最も遭遇率が高いのは公園北東部のラマーバレーと呼ばれる一帯だ。ただし野生動物に遭遇した際、例えばクマを見たら最低でも100メートル、バッファローは30メートルと、適切な距離を置くように、パークレンジャーは来訪者に忠告する。危険があるのはもちろんだが、動物たちの聖域に入り込まないよう呼び掛けているのだ。

 自然の雄大な景色、そこにすむ野生の生き物たちを、そのままの姿で守り続けているイエローストーン。だからこそ訪れた人たちはその自然に感動し、その素晴らしさを思う。130年を超える月日を経てもなお、最高峰の国立公園とされるのにはそれだけの理由がある。


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