2017/03/31発行 ジャピオン5号掲載記事


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王族たちが見た夢·シントラ


4ムーアの城跡から見たシントラ・ビラ5シントラ・ビラにある王宮。二本のとんがり帽子がシンボル6石造りのムーアの城跡。山の尾根をぐるりと城壁が囲んでいる7さまざまな建築様式が混在し、おとぎ話に出てきそうな外観のペーナ宮殿8まるで空中に浮いているようなペーナ宮殿のベランダ9ユーラシア大陸最西端にあるロカ岬10ロカ岬の夕暮れ

 リスボンの中心にあるロシオ広場駅から電車に揺られること約40分。かつて王族たちが避暑地として城や別荘をこぞって建て、それらが構成する景観が世界遺産に登録されている「シントラ」がある。鉄道のシントラ駅から、さらに周遊バスに乗り山の上にある観光拠点、シントラ・ビラへ。そこでまず目に入るのは、二本のとんがり帽子がシンボルの「王宮」。イスラム教徒が建てた建造物にマヌエル1世はじめ、ポルトガルの王族たちが手を加えながら16世紀から19世紀まで代々、利用してきた。増築のため、さまざまな様式が混在しているのが特徴だ。

 ひとしきりビラを巡ったら再び周遊バスで、激しく蛇行する山道を登り「ムーアの城跡」へ。さまざまな勢力の支配下にあったポルトガルだが、7〜8世紀にこの地を支配したムーア人は、崖の上に屈強な石造りの城を築いた。この城跡にたどり着くには、バス停からさらに山道を登ることになる。

 山の頂上をぐるりと囲むように作られた城壁は歩いて1周できる。天気が良ければ、さっき見てきたばかりの王宮と白璧の建物が並ぶビラを見おろす絶景が楽しめる。城壁の歩ける部分は狭く、壁は1メートルほどの高さで、場所によっては片側にしか設置されてない。もちろん敵が登ってくるのを防ぐためであろう、城壁は崖ぎりぎりのところにある。歩くだけでもかなりスリリングで、双方向ですれ違う際は、互いにやや顔を強張らせることになる。

 再度バスに乗り、打って変わってパステルカラーがかわいらしい「ペーナ宮殿」へ。こちらもやはり山の頂上に築かれた城で、標高529メートル。女王マリア2世とその夫、フェルナンド2世がドイツから建築家を呼んで築かせたもので、1885年の完成と意外に歴史は浅い。

 一見、ヨーロッパの典型的な古城のようだが、ゴシック、ルネサンス、マヌエルなどの様式にイスラムのテイストも加えられ、見る角度によってさまざまに表情を変える面白さがある。所蔵の美術品も含め、贅を尽くした内装はもちろん見応えがあるが、この「天空の城」のハイライトは、まるで空中に浮かんでいるような錯覚に陥る、バルコニーからの眺めだろう。

ライトは、まるで空中に浮かんでいるような錯覚に陥る、バルコニーからの眺めだろう。

 もう一つ、シントラを訪れたら足を伸ばしたいのが、シントラ駅前からバスで約1時間ほどの「ロカ岬」。この路線は観光客だけでなく近郊の学校に通う子供たちも次々に乗り込んでくるので、車内はポルトガル語のおしゃべりでにぎやかだ。「暑いので、窓を開けてください」。仲間にせっつかれ、観光客に英語で果敢に話し掛ける姿が微笑ましい。子供たちが一人また一人と友達に別れを告げて降りていき、観光客だけになったころ、北緯38度47分、西経9度30分、ユーラシア大陸最西端にあるロカ岬に到着する。夕暮れ時で、多くの観光客が高さ140メートルの崖の上から、西の果てに沈む夕日を眺めている。十字架を頂く記念碑には、ポルトガルの詩人、カモンイスの詩の一節、「ここで地が終わり海が始まる」と刻まれている。

 詩の通り、これからの旅を思ってか、あるいはこれまでの旅を思い出してか、夕日を見る人たちは一様に感傷に浸っていた。

リスボンで新旧食べ比べ

Time Out Market Lisboa

リスボンの食の新名所といえばテレイロ・ド・パソ駅の向かいに2014年にオープンした巨大なフードホール、「タイムアウト・マーケット・リスボア」。地元の人気レストランを中心に出店し、年間200万人が訪れている。


Pastel de Nata

ポルトガルの伝統的なお菓子であるパステル・デ・ナタ(エッグタルト)で有名なのが、「Pasteis de Belem」。1837年創業の老舗で、ジェロニモス修道院のレシピを受け継ぎ、その味を今も伝えている。


Sardinha

リスボンの特産品といえばイワシ。市内にはイワシの缶詰の専門店が数々あり、カラフルなパッケージの商品を並べている。1930年創業の缶詰専門店、「ConserveiradeLisboa」は上記のフードホールの裏手にある。



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