2017/09/29発行 2017 FALL掲載記事


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セージ・ウォンスさん
Agolo 共同創設者/CEO

シアトル生まれ。シカゴ大学でポリティカルサイエンスを学んだ後、日本の楽天で3年間リードエンジニアを務めた。コロンビア大学ビジネススクールでアントレプレナーシップを専攻。2013年にAgoloを創設。
www.agolo.com


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大企業と結び付く

 AI(人工知能)を使った「要約」技術に特化したサービスを提供する「アゴロ」がニューヨークに拠点を構えたのには、二つの大きな理由がある。

 「僕らはユーザーとの対話を通して必要とされる、使いやすい発明をすることを心掛けました。そのため人口が多いニューヨークは、ユーザーの統計を取る上で非常に有効だった」と語るのは、同社CEOのセージ・ウォンスさん。

 現代で、生み出される情報の量、その速度は増加の一途をたどる。一方で情報を閲覧するスペースは縮小し続け、音声認識機能を備えたデバイスにおいてはスペースすら消滅している。

 「進化ではあるけども、情報量が膨大で、機械がそれを整理しなければ、人間は情報の海に溺れてしまう。情報を正確に、個々のニーズに合わせて要約することは誰にとっても利益になる」

 ニーズを正確に捉えるために何千人ものユーザー候補と対話を繰り返した。問題は「誰にとっても有益な技術」を、最初にどこに向けて発信するかということだった。検討の結果、このイノベーションと親和性が高いのはメディア、金融企業だと導き出す。ただし、大企業と一緒に仕事をすることの難しさも十分に理解している。企業の規模が大きくなれば、一つの物事の決定プロセスに時間がかかるからだ。

 「全ての企業がスタートアップ企業と一緒に仕事をすることを良しとしているわけではありません。ですから理解があり、かつ決定権を持つ人を探し、直接会うことが一番大事。メディア、金融企業ならば当然ニューヨークになるわけです」

 実はアゴロは、ニューヨーク発祥のスタートアップ企業として初めて、マイクロソフト社が提供する支援プログラム「ビズスパーク」、さらにその上級の「マシーンラーニングアクセラレーター」を経て、最終的にマイクロソフトベンチャーから投資を受けた会社でもある。マイクロソフトはAIの分野に特に力を入れるようになり、近年、新しい技術をスターアップ企業と共同で開発することにオープンなのだという。

 「彼らには巨大な販路(ディストリビューション)があり、われわれにはイノベーションがある。双方の利点を生かしてビジネスを発展させられるウィン・ウィンの関係です」

 近年ではニューヨークではコロンビア大学やニューヨーク大学になど、教育機関がテクノロジー分野への理解、支援を示し、優秀なエンジニアを輩出する土壌も出来上がりつつあるという。

 「スタートアップの土壌、コミュニティー自体はまだ未成熟ですが、特有のサービスが生まれ始めています」

田端辰輔さん
ヌーラボ共同創設者/CMO

橋本正徳さん(CEO)、縣俊貴さん(プロダクトマネジャー)と共に、2004年に「ヌーラボ」を福岡で起業。プロジェクト管理ツール「backlog」を開発。「Cacoo」「Typetalk」などオフィスソリューションソフトを発売。2014年にニューヨーク支社開設。
www.nulab-inc.com


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世界展開への起点

 福岡発祥のスタートアップ企業、ヌーラボがニューヨークに進出したのは14年のこと。すでにオンライン作画ツール「Cocoo」、プロジェクト管理ツール「Backlog」、チャットツール「Typetalk」は日本で知られ、世界各地にもユーザーが現れ始めていた。

 「商品がすでにあって、さらに英語版を出して海外でもやっていこうと考えていました。ただ、海外未経験で、英語も話せないプログラマーの兄ちゃんたちですから、まず海外を見てみようと視察に来たのがニューヨーク。ここに拠点を置いた理由?その時に気に入ったのが一番の理由です」と笑うのは、ヌーラボ共同創設者でCMOの田端辰輔さん。

 商品の世界展開はまず、アジアから始め、シンガポールに初の海外拠点を置いた。しかし更なるユーザー拡大には、アメリカ進出が必須だと考えた。テクノロジー系スタートアップの本場、シリコンバレー、サンフランシスコも支店の候補地には挙がっていたという。

 「でも、完成した商品はあるので、新たにエンジニアを探す必要もなく、投資も不要でしたから、シリコンバレーである必要はなかったんです」

 むしろ欧州、南米圏にユーザーが増えていたことも考え合せ、今後を見据えてニューヨークを拠点に選んだ。実際に拠点を置くと、さまざまな利点が浮かび上がってきたという。

 「いろいろな国の人や、いろいろなタイプの人がいるので、商品をより使いやすいものにするために、ユーザーと有益な直接対話ができる。いろいろなテスト、フィードバックを得るための環境が作りやすい」

 さらに今後、ヌーラボが展開する三つの主力ソフトを、よりグローバルなニーズに合ったものに変えていく上で、必要なセンスやスキルを持つ人材を集めるためにもニューヨークは最適な場所だったと言う。

 「そうして集めた人材からなるチームに手応えを感じています。ニューヨークは街自体に刺激を受けますね」


 
 

   ニューヨークの
     プレーヤーたち

ニューヨークで最前線を走るスタートアップのプレーヤーたちに、どんなビジネスを展開しているのか、またニューヨークで展開している理由や目標などについて語ってもらった。

プロフィールの表示=①会社名/ウェブサイト
          ②肩書き③起業年

関信浩さん
①FabFoundry
(www.fabfoundry.net)
②Founder
③2015年2月

 ニューヨークの、モノづくりをするハードウェア・スタートアップ企業の支援と、日本の製造業とのつなぎ役を務めています。大都市が大好きなので、アメリカではやっぱりニューヨーク。移動が電車やタクシー、徒歩が中心で、東京で生まれ育った私には、とても心地よい場所です。そしてデザインはやっぱりニューヨークだと実感しています。ニューヨークのモノづくりスタートアップに、「製品を製造するなら日本!」と言ってもらえるようにすることが目標です。

Marcos Dinnersteinさん
①Digital.NYC
(www.digital.nyc)
②Editor
③2014年10月

 ニューヨークには不動産、金融など、もともと強い地盤を持つビジネス分野があり、テクノロジーによって進化、強化されています。「DigtalNYC」は市の経済開発局や多数のテクノロジー企業、メディアとも提携し、テクノロジーとスタートアップの情報を発信するメディアです。9600におよぶスタートアップ企業とアーリーステージ投資家のリストやイベントなどの情報を提供しています。当地のテック企業、スタートアップ企業、プレーヤーたちにとって有益な情報源となるのが使命です。

Ajay Revelsさん
①Polite Machines
(www.politemachines.com)
②Design Researcher, UX Consultant ③2000年

 文化、アート、メディア、教育、テクノロジーのハブであり、クリエーティブな専門家、日本人起業家がいるニューヨークで、商品・サービス開発にかかわるデザインリサーチを行うエージェンシーです。日本のスタートアップや起業家に、より効率的なイノベーションに必要なツールや方法を紹介すること、またサステイナブルで、社会平等を実現するためのイノベーションを発掘し、発展させる手伝いをすることが使命です。

Jennifer Pei Linさん
①Lair East Labs Accelerator
(www.laireastlabs.com)
②Program Director
③2016年12月

 東海岸と経済成長が著しい中国を結ぶ、初のアクセラレーターです。中国での起業を目指すスタートアップに対する支援として、シードステージでのファンディングや10週間の支援プログラムを提供しています。プログラムでは7週間で中国市場での、商品やサービスのニーズの分析やデベロップメント、3週間で中国での提携、投資先開拓を行います。日本のアーリーステージ投資家や日系企業とも一緒に、アジアでの起業のエコシステムを作り上げていきたいです。。

Daniel De Rienzoさん
①Peatix
(www.peatix.com)
②Product Manager
③2011年3月(東京)

 参加者へのイベント情報の発信、主催者がイベントの運営やチケット販売を行うためのプラットホームを提供しています。イベントの開催数が多く、種類も多彩で、新しいものも出てくるニューヨークには、イベント開催やチケッティングの最新のテクノロジーがあり、世界的な発展を遂げていく上で重要な場所です。「Peatix」のあらゆるサービスで、人と人をイベントやコミュニティーを通じてつなげること、またイベント主催者がコミュニティーを作る手助けをするのが使命です。


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