2018/03/30発行 2018 SPRING号掲載記事


バース(イギリス)

 ローマ帝国時代に温泉地として栄えたバースは、ロンドンのパディントン駅から西に、電車で1時間30分。18世紀初頭にアン女王が当地を訪れたことで脚光を浴び、その後パッラーディオ様式やジョージア様式の洗練された建物が多く建てられ、富裕層の温泉保養地かつ社交場として繁栄した。

 その後19世紀には一度衰退し、第二次大戦中は空襲の被害にも遭った。しかし戦後、修復・再開発され、1987年に世界遺産となった。

 ちなみに英語の「bath」の語源がバースだとする説は間違い。「bath」は「風呂」を意味するゲルマン祖語に由来し、イギリス唯一の温泉の源泉があるこの地が、バースと命名されたのだそうだ。

 街はこぢんまりとしていて、見所は歩いて回れる。まずは、1世紀の浴場跡に建つローマンバスへ。18世紀に発掘され、今や年間100万人以上が訪れる観光名所となっている。中はローマ時代の出土品や復元模型を展示する博物館で、緑色の水をたたえた屋外浴場は残念ながら入浴不可。社交場を改装したレストラン「パンプルーム」では、午後2時30分以降にアフタヌーンティーが楽しめる。

 次は、7世紀創建(現在の建物は15世紀に再建)の寺院、バースアビーへ。天井には柱から扇型に広がる彫刻が施され、壁の80%を占めるステンドグラスから柔らかい光が差し込む。その清々しさに心が洗われる。

 観光客があふれるエリアを離れ、三つのアーチが美しいパルトニー橋とエイボン川の流れを眺めながらひと息。街を散策しながら、最後の目的地のロイヤルクレセントに向かう。

 バースの建築物の多くは、蜂蜜色の地元産バースストーンを使用していて、あたたかくて落ち着いた印象だ。1767年から7年かけて建てられたロイヤル・クレセントもその一つ。30軒の豪華な邸宅が半月状に並び、今も住居や博物館、ホテルとして利用されている。向かいに広がる青々とした芝生に寝転がり、この街でのひと時の名残を惜しんだ。

1.高い天井に広がった扇状のレリーフが美しいバースアビー
2.ローマンバス。後方にはバースアビーが見える
3.ローマンバス内のエレガントなレストラン、パンプルーム
4. パルトニー橋には、フィレンツェのベッキオ橋のように両側に店が並ぶ
5.富裕層向け別荘として建てられた邸宅が並ぶロイヤルクレセント
バース基本情報

市設立:1世紀ごろ

人口:約9万5000人

面積:29平方キロ

主要空港:Bristol Airport(BRS)

ロンドンからの所要時間:約1時間30分(電車)

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